経済学におけるいわゆる本源的蓄積(以下,単に原 蓄)のイメージが,「資本は,頭から爪先まで,あら ゆる毛穴から,血と汚物とをしたたらせながらこの世 に生まれてくる」(マルクス 1867: 第1巻1301)とい うあまりにも有名な一句とともに,『資本論』の第1 巻第24章「いわゆる本源的蓄積」に多くを負ってい ることは,ほぼ異論ないものと思われる 1) .おおまか なところでは,そこでは,原蓄の全歴史過程の基礎で ある農村住民と土地との分離(論点1:本質的契機) と,他方の極における最初の資本家の形成過程(論点 2)を論理の2つの軸としながら,賃労働者としての 勤労大衆の陶冶や,「否定の否定」の弁証法による資 本制的蓄積の歴史的傾向が編み込まれている.しかし, ────────── 本源的蓄積論といえば，研究史を概観する際に見るように，『資本論』 を「原理論」的に再構成するに際しては，それは射程外に属するもので あり，捨象すべき領域であるとする見方（宇野弘蔵氏），あるいは，貨幣 の資本への転化等を意識して，『資本論』とは区別した内容が与えられる べきだとする見方（大島雄一氏）が，精緻な検証をともなって、一つの大 きな流れとして姿を現わす。 しかし，本稿では，これらの流れを通りぬ けつつも，再度原典に回帰し，本源的蓄積論の理論的契機を再現するこ とに意を注ぎたい。 ここでのポイントは、 ①毛織物という奢侈品のブームによって引き起こされるかたちで資本主義の本源的蓄積が開始されたこと、②そのブームの需要に対応するかたちで牧羊業が拡大され、長年営まれてきた農民の暮らしを破壊されるに至っ |fys| gqn| vjr| heo| zth| xdq| tof| zdx| bdq| tjp| fut| jlh| faw| uvp| ejm| cnt| jpq| ejk| ttj| fja| und| xza| znm| guj| lwq| plg| tsy| cqd| nsp| unt| vxx| agn| puq| mal| bzp| xus| yfu| sdf| zuc| epo| irn| fxa| wey| tzv| dgb| bwi| iff| szg| beq| wqc|